【トラクタロータリー】サイドロータリーとセンターロータリーの駆動方式による特徴 メリット・デメリットを解説

2020年6月28日日曜日

農業機械 農業豆知識編

t f B! P L


水田・畑を耕耘するのに使われるロータリーは、爪軸の駆動方式によって2分類にされます。爪軸を片側のチェーンケースで動かかすロータリーをサイドドライブロータリー、ロータリー中央に駆動チェーンケースを持つものをセンタードライブロータリー、このように分類されます。
以下では、サイドドライブロータリーとセンタードライブロータリーがどのような特徴を持つのか、メリット・デメリットを含めて解説します。

センタードライブロータリー

上の画像のように爪軸の左端に爪全体を駆動させるチェーンケースを持つロータリー。一般的な形式はこの形をしており、水田で多いタイプ。




サイドドライブロータリーの特徴

1.爪軸に強度を持たせられる
 爪軸をチェーンケース側のベアリングと反対側のベアリングで保持するため、比較的強度のある設計になる。

2.修理が行いやすい
 ロータリー側に負荷がかかった時に、外側のチェーンで負荷を受けるようになっているため、簡単な修理になる。修理作業が簡易であるため、修理代が比較的安く済む。

サイドドライブロータリーのデメリット

1.深耕に不向き
 外側のチェーンケースが爪軸よりかなり下側に位置するため、深く耕耘するのに構造上の限界がある。

2.チェーンケースの残耕
 耕耘中に外側チェーンケースが地面に設置しているため、チェーンケースの深い残耕が残る。

水田ではあまり問題にならないが、畑作での畝幅を計算する作業ではこのチェーンケース跡が問題になる。(チェーンケース跡が上手く整地できない、チェーンケース跡を除けると、畝の数が減る等)




センタードライブロータリー


センタードライブロータリーは爪軸を動かすチェーンケースがロータリー中央部に位置するもの。畑作やハウス作などで用いられることが多い。

センタードライブロータリーの特徴

1.爪軸の幅の調整が可能
 センタードライブロータリーは爪軸を中央のチェーンケースで吊っている形式をとっており爪軸端がフリーの状態であるため、爪軸の延長が可能である。畑、主にハウス作業での汎用性が高いロータリーである。

2.チェーンケース跡を気にしなくよい
 サイドドライブ方式のように端に出っ張ったチェーンケースがないので、ロータリーの幅基準で作業可能。そのため、畝の本数を計算したり、培土作業が用意となる。また、ハウスなどでは、ハウスの両端ギリギリまで寄って作業が可能となる。




センタードライブロータリーのデメリット

1.構造上強度が保てない
 爪軸中央を吊っている形式であることから、センタードライブ方式に比べて、強度が弱い。

2.修理に工数がかかる
 中央部にチェーンケースがあるため、ロータリーで傷みやすい個所であるチェーンやそのケースのオイルシールの交換が爪軸全体を降ろすしかなく、修理に時間と工数がかかる。そのため、サイドドライブロータリーに比べて修理代が高くなる傾向にある。

終わりに

以上が駆動方式によるロータリーの違いでした。
サイドドライブ、センタードライブ、それぞれにメリット・デメリットがありますが、一般的に水田ではサイドドライブ方式、畝たて・培土・ハウス内作業がある場合はセンタードライブ方式が選べばれるようです。



人気記事

  • 田植機の株間とは・・・ 田植機で株間を設定するということは、1坪に植える株数のことを指します。 つまり、田植機を60株に設定するということは、1坪に60株を植えるということになります。 田植機の1条毎の間隔は通常30cmと決まっているので、株数を変えると株間が...

  • 石数(石) リットル(ℓ) 生籾重量(kg) 袋数(袋) 面積換算(反) 60 10800 6000 200 7.5 50 9000 50...

  • トラクターにおける3点リンクとは、トラクターの後ろに装着された三つのリンクで、それぞれ左右のトラクターのリアタイヤの下部とトラクターの中央部分に設置されます。この3点リンクを使用することで、作業機をトラクターに取り付けることができます。 3点リンクには標準3点リンク(標...

  • 横送り回数とは・・・ 田植機に載せた苗を横にスライドさせて、何回で掻きとるかを表しています。 どの回数に合わせればいいのか?? 植える苗の種類によって、使用する回数は異なります。 30回(28回) 密苗移植時、乳苗 26回(24回) 稚苗(慣行苗) 20回 中苗 18回 ポ...

  • PTOジョイントシャフトとは トラクタ側PTOシャフトと作業機側のPIC軸(入力軸)を接続するシャフトのことです。 エンジンからの回転を作業機側へ動力伝達するのに用いられます。 PTOシャフトには主な形状として2種類有ります。 PTOシャフトの種類 普通ジョイント シャフト...

  • ロータリー耕耘の永遠の課題。田んぼの畦際の処理。 ロータリー作業、特に田んぼの中でどうしても耕せないのが畦際です。 ロータリーのチェーンケースが張り出しているため、あぜの際の部分までロータリーの爪を寄せきれません。特にコンクリート畦畔ではロータリーの破損、コンクリートを壊し...

  • 1枚の慣行の苗(稚苗)を作るのに必要な倍土の量 床土・・・2.5kg 覆土・・・1kg 2.5kg+1kg=3.5kgが必要となる。 おおよそ 4kg で計算しておくとよい。 市販の培土は20kgで売られているものが多いので、培土一袋から5枚の苗が作れるということになる。 ※床土...

  • 水田・畑を耕耘するのに使われるロータリーは、爪軸の駆動方式によって2分類にされます。爪軸を片側のチェーンケースで動かかすロータリーをサイドドライブロータリー、ロータリー中央に駆動チェーンケースを持つものをセンタードライブロータリー、このように分類されます。 以下では、...

  • 収穫したお米を乾燥機に入れて乾燥させている理由は貯蔵です。 籾が高水分の状態のままであると、籾が腐り、食用としては用いることができなくなります。(参考記事: 生籾(乾燥前)の貯蔵可能時間について ) 現代農業では、収穫した籾を穀物用の乾燥機で乾燥させることにより、品質を保...

  • ふつうトラクターのロータリー耕は爪軸がトラクターの進行方向に回転する「正転」にて作業します。しかし、たいていのトラクタのPTOレバーには「逆転」というものが装備されています。 このPTOの「逆転」というのは 土寄せ作業 を行う際に用いられます。 ロータリー作業を行うと、ロ...

QooQ