収穫したお米を乾燥機に入れて乾燥させている理由は貯蔵です。
籾が高水分の状態のままであると、籾が腐り、食用としては用いることができなくなります。(参考記事:
生籾(乾燥前)の貯蔵可能時間について)
現代農業では、収穫した籾を穀物用の乾燥機で乾燥させることにより、品質を保ったまま長期間保存可能な状態で市場に流通させているのです。
そこで、籾の水分を均一に乾燥させるのに覚えておきたいポイントをまとめておきました。
通風乾燥運転の重要性
収穫したばかりの籾は水分差があります。高水分の籾ほど良く乾き、逆に低水分の籾はあまり乾きません。特に雨あがり後に収穫した籾は水分差が顕著で、乾燥後の水分差の原因となります。水分差のある籾を乾燥する場合には、通風乾燥運転(熱風でなく常温の風を起こす運転)で2~3時間程度乾燥させます。籾の表面を通風乾燥で乾かすことにより、籾の流れが良くなり、循環しやすく、籾が良く混ざり合います。
青米・しいな・ワラ等が籾の水分に及ぼす影響
乾燥した籾の中に混ざった青米、ワラ等が籾の水分に影響します。一般的には、青米・未熟米が多いと水分が籾に戻り、しいな、わら屑が多いと逆に籾の水分が移行します(水分が低くなる)。
乾燥機の二段乾燥運転モードについて
収穫した籾があまりに高水分で、籾の間で水分にバラツキがある際は、二段乾燥運転がオススメです。籾の水分を20%程度まで落とし、4~8時間程度乾燥を停止させます。その後、出荷水分まで再度乾燥運手させます。始めの乾燥で、高水分の籾と低水分の籾の均一化させることで、バラツキの少ない乾燥が可能になります。ほとんどのメーカーの乾燥機に、二段乾燥モードが実装されているのは、このためです。
青米・未熟米の混入量による水分変化
100粒中の青米・未熟米 |
乾燥停止後の水分変化 |
0~5粒 |
0.5%程度は乾き、場合によっては1%乾くこともある |
6~10粒 |
ほとんど変わらない |
11粒以上 |
0.5%程度は戻り、場合によっては1%戻ることもある |
外気温が籾の水分に与える影響
籾の水分は外気の温度でも変わります。外気温20℃を基準とした時、気温が1℃上昇すると水分も0.1%上がります。気温が20℃よりも低くなると水分も下がります。そのため、乾燥後の籾の水分を測定する際は、温度補正をする必要があります。気温が上昇した分、水分を0.1%低く補正し、気温が低下した分、水分を高く補正して考える必要があります。